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令和 3年 12月号  216

コイチ料理


ニベ科の魚

コイチは夏場に多く漁獲されることから夏場が旬と言われることが多いけれど、実は冬場に脂が乗って美味しくなる。今月号では、このコイチを採りあげることにしよう。姿形がコイチと非常に良く似ている同じニベ科のシログチを 平成29年10月号No.166 で記していたので、同じような事がでてくるかもしれないが、それは見分けがつかないほど似ているが故に、そのことを承知の上のことであり、その違いの部分にも注目してもらいたいものである。

以下の画像がスズキ目スズキ亜目ニベ科ニベ属のコイチである。

地域名としてニベの呼び名も堂々と通用しており、そこにキグチが入り込んでくると、キングチとも呼ばれるコイチとシログチとをどう見分けしたら良いのか紛らわしくなる。

そこで、以下の画像はシログチの説明の時に記していたものだが、画像を比較した見分け方として分かりやすくなっているので、今月号でも理解のために同じものを再度掲載することにした。以下の画像は全て筆者が撮影したものであり、撮影した場所や時期はそれぞれ違うものの、大きさはほぼこんなバランスだった。

ニベ科の魚の見分け方

シログチ

シログチ(グチ、イシモチ) ニベ科シログチ属

全体が銀白色でやや細長く、尾ビレは突き出た三角形。エラ蓋の後ろに黒い斑がある。

キグチ

キグチ(キングチ、フウセイ) ニベ科キグチ属

体色は黄色味のある銀白色で腹部は背部より少し黄色い。目が上あごの先端に近くて大きく、尾ビレの元が細い。

コイチ

コイチ(ニベ、キングチ)ニベ科ニベ属

全体に黄色味を帯び、側線下の黒点は筋状に並び、上は乱れている。背ビレを除いた各ヒレの元部分は黄色が強い。

クログチ

クログチ(カマガリ)ニベ科クログチ属

胸ビレが長く、第一背ビレより後方まで届き、全体的に黒い色をしている。

ニベ

オオニベ (ニベ、ミナミスズキ)ニベ科オオニベ属

頭が小さく、胸ビレの長さは第一背ビレ後方の端に達しない。尾ビレ端は中央部が少し出ている。

オオニベ

ホンニベ(アカグチ)ニベ科ホンニベ属

側線上に背ビレに沿って斜めに規則正しい褐色の斑紋(小黒色斑点列)が続く。


浮き袋(鰾)と発声筋

ニベ科の魚は270種もの種類が確認されており、大半の魚種が大陸沿岸部の海域に生息していて、それらは大きな耳石を持っていることや浮袋を使って鳴き声をだすことなどが共通の特徴となっている。

ニベ科の魚を調理する機会の多い水産関係者であっても、商売に結びつくことがない耳石を目にすることはほとんどないと思われるが、浮き袋(鰾)は調理すれば必ず目にする臓器である。

浮き袋(鰾)の除去
背骨にへばりつくように付いている。
指で取り外すと傷がつきにくい。
浮き袋(鰾)が除去された状態。

 

コイチを含むニベ科の魚はこの浮き袋(鰾)を震わせてグーグーと鳴くことができる。その音がまるで愚痴を言っているように聞こえるので、シログチ、キグチ、キングチ、クログチなどニベ科の代表的な魚の多くは「グチ」の名が付けられている。この鳴き声は産卵が行われる大潮の時に限られていて、お互いの存在を認識するための音のようである。ついでのことだが、昔はこれが避妊具として使われていたということだ。

日本の古い言葉では膨れていることを「へ」と表現していたということであり、浮き袋(鰾)は膨れているので「へ」の一種であり、その浮き袋を煮ることで接着剤の膠(ニカワ)を作っていたので「煮るへ」となり、これが魚のニベという名称となったとのことである。

その浮き袋(鰾)の横には、下画像にある発声筋と呼ばれている赤い筋肉が両側に付いていて、それを震わせて浮き袋(鰾)が共鳴し、それが鳴き声(振動音)となる構造だ。

発声筋の除去
白い線で囲った部分が発声筋
二枚おろしをした中骨付き半身から発声筋を指で剥がす場合。
中骨無しの身から発声筋を指で剥がす場合。
除去された二つの発声筋

浮き袋(鰾)と発声筋の料理

もしニベ科の魚の特徴を端的に示す浮き袋(鰾)と発声筋が商品として売れるのであれば、以下のようになるだろうが、筆者自身まだ魚売場でこういう商品を見たことは一度もない。

商品として売れなくても、不用な残滓として廃棄してしまうのはもったいないと思う。誰でも浮き袋(鰾)を煮詰めたら、天然由来の接着剤を作ることが出来るので、これは捨てない方法の一つだが、残念ながらそれは時間と労力を使う必要がない限りムダなことなので、まあ普通の人はそんなことしないだろう。

いっぽう発声筋を活用するのはどうしたら良いのかを考えると、たぶん食べるしかないと思われるので、これを食べるために浮き袋(鰾)と一緒に料理をしてみた。

浮き袋(鰾)と発声筋の料理
醤油とミリンで下味をつける。
油を引いたフライパンに入れる。
焦げない程度に軽く焼く。
浮き袋(鰾)と発声筋のソテーが完成した

 

この料理を食べた結果、その味の評価はどうかと言えば、浮き袋(鰾)は胃袋のような強い弾力性もなく、意外に柔らかい食感である。そして、発声筋の方は筋肉の塊そのものであり、シログチの時に解りやすい例としていた「ヒレ肉のようだ」という表現はやはり正しいと感じた。

なぜなら、ヒレ肉というのは内臓側の左右に2本ある細長い筋肉で、正式の筋肉名は「腸腰筋」と称され、太ももを外側に回す役割を担った筋肉であり、結合組織が少なく脂肪がほとんどない。つまり、ニベ科の魚の発声筋も似たような場所にあり、浮き袋(鰾)を動かす機能を持った筋肉なので、「魚のヒレ肉」と表現しても良いのではないかと思う。突拍子もない提案と思われるかもしれないが、「希少部位 魚のヒレ肉」として売ってみてはどうだろう。


コイチ料理

さて、本来の主役である内臓以外の肉にも言及しよう。例えば、コイチの煮付けは以下のような形で料理したい。

コイチ切身工程と煮付け
1,中骨の上まで切り込みを入れる。 7,頭部に肉を多く残して切断する。
2,頭をつけたまま、尻ビレの上を切り開く。 8,切身幅が均等になるよう切り込む。
3,背ビレの上を切り口まで切り開く。 9,頭も含めて4等分のバランスで切る。
4,刃先を頭部の中心に切り入れる。 10,尾部を除いて4等分のバランスにする。
5,頭部を二つに切り開く。 頭部と尾部を組み合わせて少し安めの価格設定
6,上身に頭部をつけたままの二枚おろし。 見かけの良い切身だけ組み合わせ高めの売価設定
コイチの煮付け料理

 

骨付き半身で煮付けにしたので、後は骨なしの方で刺身と鮨にしたら以下のようになった。

 


魚のヒレ肉

さて、今月号もまとめに入りたいと思う。昔は今月号の主役であるコイチを含むシログチ、キグチなどニベ科の魚は典型的な大衆魚としていつでもどこでも見ることが出来たのだが、今では魚売場で売られていること自体が珍しがられるような状況になっている。

1960年代までの頃は、以西底引き網漁船が東シナ海や黄海でニベ科の魚を大量に漁獲して日本に持ち込んでいたが、日本を取り巻く漁業環境が大きく変化するに連れて以西底引き網漁業は衰退し、それと共にニベ科の魚が魚売場では見られなくなっていったのである。

そのようになった環境変化の要因は 平成29年10月号 No.166 で詳しく記しているので参照して欲しい。昔のニベ科の魚は大衆魚として、もっぱら煮たり揚げたりの料理に使われていたが、今や希少性が増して刺身や鮨にも使われるような扱いを受ける存在となっている。

今月号で本当は刺身用のニベを主役にする予定だった。それは、福岡ではほとんど惣菜魚として扱われるシログチとは違い、刺身用として別格の扱いを受けることの多いコイチをニベとも呼ぶという経緯もあり、実はコイチをニベとして記すことも考えていた。しかし、やはり弊誌の立場からすると地方名を前提とするわけにはいかないと判断したのである。

昔はコイチの浮き袋(鰾)も膠(ニカワ)という接着剤の原料として使われていたが、今はコイチをその材料として見ることはない時代である。そして、コイチの発声筋は昔であれば見向きもされなかったけれど今はどうだろう、資源の有効活用という考え方からすれば、これを不用な残滓として捨ててしまうのではなく「魚のヒレ肉」として希少性を売りにすることも出来ないことはないのである。

マグロのトロも昔は捨てられていたという事実を知っているならば、発声筋を見る目も違ったものになるのではないかと考える。読者のどなたかが筆者の思いつきを具体化してくれないものだろうか・・・。


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更新日時 令和 3年 12月 1日