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令和 2年 9月号  201

キントキダイ

キントキダイ

チカメキントキ皮揚げ


秋の魚の一つ

暑い8月が終わり9月ともなれば、例年であれば季節の風物詩サンマが魚売場を賑わせるはずなのだが、このところ何年も続いてきたサンマの不漁が今年は輪をかけての不漁となりそうな雲行きである。

今年のサンマ盛漁期は、三陸沖の場合10月下旬頃になりそうだということで、言ってみれば「秋もそろそろピークを過ぎる頃」となると、季節を先取るのが商売と考えると、時機を逸した感が漂ってしまうのではないかと思われる。

サンマ不漁の一つの原因は中国や台湾、韓国などが、日本近海にサンマが回遊してくる前に、太平洋の公海上で先にサンマを大量に漁獲しているためだとの説があるが、一方では近年急速に勢いを増しているマイワシと同じ餌場を争って、サンマがその勢いに負けている「レジームシフト」の影響も大きな要因として考えられる。

今年の秋も近年と同じく「マイワシは安く、サンマは高い」というトレンドを避けることは出来ないと考えられ、秋の旬をアピールする魚としてサンマを量販するのは難しいようで、魚売場の旬魚としては別の魚も採り上げていかなければならない。

例えば、下画像のチカメキントキはどうだろう。

チカメキントキ

秋の魚としてあまり聞いたことはないと言われるかもしれないが、チカメキントキは秋から旬を迎える魚の一つである。サンマやマイワシのように大量漁獲魚種ではないけれど、チカメキントキの美味しさたるや、なかなかのレベルなのである。


キンメダイとは別種

チカメキントキという魚は場所や店によっては、キンメダイと同じように大きな魚眼を持っていることから「キンメ」という名称で販売されていることもある。しかしチカメキントキはスズキ目キントキダイ科キントキダイ属に属し、赤い色の魚体と大きな目玉が良く似ているキンメダイ目キンメダイ科キンメダイ属のキンメダイとは別種の魚である。

キントキダイ

またチカメキントキと同じキントキダイ属のキントキダイは以下の画像だ。同族のチカメキントキより体高が低く体長が長めであり、チカメキントキの名前の由来になっている口の縁と眼球の間隔が狭くて近いという点で、確かにキントキダイはチカメキントキよりも口と眼球の間が多少離れている。

キントキダイ

チカメキントキとキントキダイの2魚種は、この他に特徴として魚体表面が小さくて硬いウロコに覆われ、このウロコは簡単に取り除くのが難しいほどこびり付いている。また、皮も厚く硬いことも、この2魚種の特徴として挙げられるが、いっぽうでキンメダイのウロコはあまり小さくなく、皮も柔らかいので焼き霜や湯霜で美味しく食べられ、このこともキントキダイ属2魚種とキンメダイの大きな違いである。キンメダイについては、FISH FOOD TIMES 平成22年10月号 No.82「金目鯛焼き霜造り」で記事にしているので、是非覗いてみてほしい。


小さな硬いウロコと厚い皮を活かす

チカメキントキの一番の特徴は小さくて硬いウロコと厚い皮にある。これらを余計な邪魔者として切って捨てるか、何とか工夫して美味しい料理にするかでチカメキントキの存在感は大きく違ったものになる。

ウロコも食べて美味しい魚として一番有名なのは、京都地方でグジと呼ばれるアマダイであろう。この魚のことに関しては世間一般に良く知られていることなので今回はスルーするとして、FISH FOOD TIIMES で過去に採り上げたものとして、アブッテカモ(スズメダイ)のことを避けて通るわけにはいかないだろう。

アブッテカモ、スズメダイ

FISH FOOD TIIMES 平成29年6月号 No.162では、上画像のアブッテカモ丸ごと塩焼きについて以下のように記していた。

この丸ごと塩焼きの食べ方の通は、まさに頭からガブリと噛んで口に入れ、骨も内臓もそのまま食べる。そのために大きさとしては出来れば小ぶりの方が食べやすいということから、通の人は比較的小さなサイズを選んで購入するとのことだ。5月から7月頃のスズメダイは、内臓脂肪が腹腔いっぱいパンパンに膨れ上がっており、通ではない食べ方をすると、実際の可食部分は非常に少ないことを覚悟しなければならないが、その可食部分も脂肪はコテコテで、密度の濃いしっとりとした身質はこの時期ならではの絶品の味だと言える。

 

そして、一番好評だったのは以下画像の三枚おろしにしたウロコ付きの素揚げだった。 小さな血合い骨が少しあるものの気になるほどではなく、ウロコの食感が小気味好く感じられ、表面はカリッとした歯応えがありながら、中はしっとりとし魚の素揚げらしさを味合うことができた、とその時に記していた。

アブッテカモ、スズメダイ

過去にこのような経験があったので、チカメキントキも同じようなウロコを活かした料理を試みることにした。

チカメキントキのウロコ付き唐揚げ
チカメキントキ
1,ウロコを落とさずに、三枚におろす。
チカメキントキ
2,敢えて、ウロコ付きのまま切身にする。
チカメキントキ
3,ウロコを付けたままの切身に小麦粉をつけ、180度の高温の油で揚げる。
チカメキントキ
4,表面がパリパリになるくらい、しっかり揚げる。
チカメキントキ
ウロコ付きチカメキントキの唐揚げが完成。

 

ウロコ付きチカメキントキ唐揚げはアブッテカモ素揚げとほぼ似たような食感であり、ウロコの硬さが小気味好く感じられ、表面はカリッとした歯応えがあった。

次はチカメキントキの皮を使った素揚げである。

ウロコ付きチカメキントキの皮揚げ
チカメキントキ チカメキントキ
1,ウロコが付いたままチカメキントキの皮を引く。 4,180度以上の高温の油で揚げる。
チカメキントキ チカメキントキ
2,身の方は鮨や刺身にする。チカメキントキの生の味は旨みが多く感じられ、一級レベルである。 5,揚げたらしばらく油切りをする。
チカメキントキ チカメキントキ
3,ウロコ付きの皮をあまり細くせず、1〜2p幅に切る。 6,小さなウロコが皮の表面に白い水晶のように立っている状態。
チカメキントキ
ウロコ付きチカメキントキ皮揚げの完成。お好みで塩コショウで味付けをする。

 

チカメキントキのウロコが小さくて取り除きにくく、皮も厚くて湯霜や焼き霜の商品とするのは難しいのは普通に考えれば厄介なデメリットである。しかし、ウロコと厚い皮を美味しく食べるにはどうすれば良いかと発想を変えてみるとこのような料理が出来るのである。


魚の皮を活かす

今月号は意図的に魚の皮を主役とした。その材料のチカメキントキの身は不味いからではなく、その身は最高クラスの絶品の味を持っている魚であるけれど、それ以外の部位を上手く活用する例として紹介したのである。

刺身や鮨の調理をする際には基本的に捨てられ、焼き魚料理にしたとしても最後に食べ残しされることが多い魚の皮は意識して活用しなければ余計な邪魔者として扱われる。水産部門の作業場のアラ箱には調理の際に捨てられた魚の皮が山のように重なっているのを見るのは珍しくない。

しかし魚の皮と身の間には脂肪層があり、ここに旨みの多くが含まれているので皮を捨てることは魚の美味しい部分も一緒に捨てることになるのである。過去にFISH FOOD TIMES 平成27年2月号 No.134では、皮を活かした商品提案というのをマダイを使って紹介していた。当時はマダイの相場が大きく下落していたので、マダイの販売を強く促すために記事を書いた記憶がある。そして再び現時点で、マダイの相場は同じように長く低迷しており、今後のマダイの販促のためにも、そして魚の皮を活かす方法の基本となる内容でもあるので、少し長い参照になるけれど、以下に一部を抜粋して掲載しよう。

FISH FOOD TIMES 平成27年2月号 No.134の記事より一部抜粋

魚の旨味というのは皮と身の間の脂肪層の部分に多くあり、これらをすべて閉じ込めて食べることになる湯霜(皮霜)という方法は、皮すきをした普通のにぎり鮨よりも更に美味しく食べることの出来る方法である。

もちろんこれはにぎり鮨だけでなく、下のような刺身の湯霜造りというのも美味しい。

   

上画像は1.2sサイズの養殖真鯛を背身で1パック680円、腹身で1パック380円という売価で商品化してみた例だ。

これは普通の真鯛の湯霜造り商品化としては無難な線であろう。

しかし、仕入れ価格が安く抑えられる今はこんなボリュームではなく、同じようなサイズを使って以下の画像のような半身での商品化を、680円から780円前後という魅力的な売価で無理なく提示出来る。

お造りにする前の短冊は以下の画像のように、背身と腹身を別々にして湯霜短冊として商品化したら良いだろう。

また湯霜にするのではなく、皮すきのお造りやにぎり鮨にした後、残った皮も以下のような商品とすることが出来る。

まず熱いお湯で湯霜をし、氷水で冷やしてから、軽く水気を取る。

 

その湯霜した皮を縦に丸めて細く切り刻む。

 

   

これを上の二つの画像のように「あしらい」としてお造りに添えても良いし、

 

このようにサラダ感覚でドレッシング小袋を加えて盛り付けた単独の商品としても提供しても良いだろう。

 

 

昨今は湯霜だけではなく「炙り」と称される焼き霜が鮨などでは人気のようだが、これも皮の美味しさを活かした方法の一つである。

以下の画像はノドグロとも呼ばれる赤ムツ炙りの平造り姿造り刺身であり、炙りの美味しさをしっかり活かせる魚の一つだ。

 

さらに鮨の例を挙げると、以下の画像のアルゼンチンアカエビも炙りで美味しさが高まる商品の一つだ。


当然ながら、高価な魚だけが美味しいわけではない

先月のFISH FOOD TIMES 8月号は高い取引価格で売買される高級魚の代表シマアジであった。そして例年の9月であれば、本来なら安い大衆的な価格で取引されるはずのサンマは今のところ1尾1,000円以上の売価の高級魚となっている。こうして見てみると、その時点での高価な魚というのは、水揚げや資源の状況、需要と供給の関係で価格は大きく変動するものであり、時代と環境によってその対象となる魚種もそれなりに変化するものなのだ。

今回の主役チカメキントキは500g弱の大きさであり、仕入れ価格は1尾300円ほどなので決して高くはなかったのだが、これはチカメキントキの相場は魚体が大きいほど高く、小さいほど安いという傾向があり、そういう意味で手頃な大きさと価格だったようだ。

昨今の魚売場の商品は養殖魚や冷凍魚が幅をきかせていて、天然魚の存在感は非常に希薄となっており、養殖魚や冷凍魚は商社・卸し問屋などが安定的な供給を売り物として、仕入れ価格は高値安定の傾向にある。これらの養殖魚や冷凍魚を商品原料として使えば、効率的で合理的な作業を前提とした計画的販売は出来るものの、値入率的には必ずしも高い割合を確保できるものではないというのが水産部門の運営面での難しさともなっている。

魚売場が効率性と合理性だけを追求することでは物足りなくて、更に省力化をも求めて、マニュアルに沿った規格化された商品化だけを推し進めていったらどうなるのか。そのことはスーパーの売場の中で水産部門だけが一人負けと言われるような売上低迷の状況に追い込まれてしまった、全国にある幾つかの例を見れば答は自ずと明らかである。

商品内容は二の次にして、とにかく急いで時間内に型どおりの商品を作り上げることを優先し、そこに知恵も工夫も何も入り込む余地がないのでは、魚好きのお客様をリピーターとして再び魚売場に引き寄せ続けることは出来ないのだ。

秋になったら「サンマを1尾100円で量販する」なんていう、昔成功した販売手法は当面というか、この先一切出来なくなるかもしれないと考えるのが妥当だとするならば、魚の販売方法を様々な側面から見直していくべきであり、そのヒントの一つとして魚の皮にも目を向けてもらいたいものである。

たかが「魚の皮」だけれど、魚の皮をどのように活かすかで魚売場の評価は大きく違ってくるに違いない。


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更新日時 令和 2年 9月 1日