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令和 2年 10月号  202

ツムブリ

ツムブリ

ツムブリ刺身


美味しいけれど注目されていない魚の一つ

ツムブリは秋から冬にかけて美味しくなる魚である。ブリと同じアジ科なので親戚ではあるが、ブリ属ではなくツムブリ属なので、同じブリ属のヒラマサやカンパチほどブリと近い関係ではない。体側には黄色の縦縞が目立ち、頭部が小さく細長い魚体はとてもスマートな姿をしている。

ツムブリ

アジ科の他魚種に負けず劣らずの食味を持っていて、特に秋から冬の脂が乗った時期は非常に美味しくなるのだけれど、魚市場ではあまり評価されずに安い価格で取引されるのが普通であり、市場関係者に注目されず不当な扱いを受けている魚の一つと言えるだろう。

ツムブリはなぜ低い評価が一般的なのかを考えてみると、まず一つ目は「変色の早さ」が挙げられるのではないだろうか。

ツムブリを二枚おろしにすると、以下のような非常に赤い色をした身が現れる。

ツムブリ

天然ブリを含めたアジ科の魚がこのような色をしていたら、基本的に時間の経過と共に赤黒く変色していくのが普通であり、変色のスピードが速いと商品価値の低下も早いので、このことがツムブリの評価を低くしている原因の一つではないかと思われる。

次に、ツムブリは下の画像のようにブリと比べると脂肪が少なくて筋肉質の非常にスマートな姿をしているので、その分歩留まり率が悪いことから、もし同じような価格でタップリ脂を溜めている太った肥満体の天然ブリが手に入るのであれば、脂肪が多くて歩留まり率の良い天然ブリの方が仕入れ関係者には好まれるのである。

ツムブリ

ブリ

三つ目の原因として、ブリに比較するとずっと南の暖かい海の方に多く棲息していることから、漁獲されて魚市場に上場されることが少なくて馴染みがなく、お客様に知名度がない分で購入してもらえるチャンスも限られていて、魚販売の関係者は仕入れに積極的にはなれないこともあると考えられる。

こういった理由から、ツムブリの市場での取引は基本的に天然ブリよりも安い価格でないと仕入れ関係者に関心を持ってもらえないようである。


安いツムブリの商品展開

つまり、ツムブリは安い価格で手に入ることが大きなメリットである。この魚が高騰して手に入らないとのことはあまり聞いたことがないので、安さを活用してボリュームのある商品化をすることが販売のポイントとなる。

ツムブリを三枚におろすと、以下の画像のように比較的細めの赤い色をした身が現れる。

ツムブリ

この画像の上身の半身を切身用に商品化してみたのが以下である。

ツムブリ

約5kg弱だったと記憶しているが、70g平均の切身が17切れとなった。本来ならば「2・3の原則」で商品化すべきだと思われるが、このツムブリに関しては売価を安く出来ることから3切れ・4切れの展開でいくことにした。

その切身の頭に近い部分をよく見てみると、腹身の部位は背身よりも白っぽい色なっていて、ツムブリとしては脂肪が乗ってきているのが確認できる。ちなみに、この画像はある年の10月25日に仕入れて扱ったことが画像情報に記されている。

ツムブリ

ツムブリ切身70g3切れ入りが380円の売価でも値入率は約40%は確保できれば、切身の大きさと売価のバランスからすると充分魅力的商品になったのではないかと思う。


刺身で付加価値アップ

次は下身の半身の方である。こちらの方は刺身の商品化にすることにして皮を除去することにした。

ツムブリ

皮を引くと、表面は赤い色が濃いめで、天然ブリなどと比べると皮下脂肪がずいぶん少ない皮下の表面が現れる。

刺身についても安さを活用したボリューム感を出すことにして、そのボリュームの割にはお買い得な売価が魅力となる商品化をすることにした。

ツムブリ

このツムブリは死後硬直の段階に入った鮮度レベルだったけれど、平造り刺身が15切れ入りで480円であれば、切身だけでなく刺身もボリュームの割に買い易さが実現できているので、魅力的な商品として通用するのではないかと思う。

更に腹部の脂が一番乗っている希少な部位のトロ身部分だけを使って、薄造りの要領で厚さは倍ほどの大きさにして価値を高めた商品を作成してみた。

ツムブリ

ツムブリのトロ身は、天然ブリのように脂肪が多いことによる乳白色の白さが目立つものとは少し違っていて、脂肪が赤身の色合いと繊維質の白さの中に混じっている独特のトロ身となっている。


通称沖ブリの本名はツムブリ

ツムブリは全国各地方で様々な名称で呼ばれている。数多くの別名を全て紹介するつもりはないが、ある地域では「沖ブリ」の名称でも通用する。

以前、量販店の塩干売場で販売されている「沖ブリ照り焼き」というメーカー加工品の原料が、シルバーワレフー、別名ギンヒラスという南半球で獲れる魚を使っていたことがある。これはたぶん切身にすると見た目がブリそっくりなので、沖ブリというそれらしい名称を商品名として勝手につけて、より多く販売しようとする考えから来ていたのだろう。

しかし、この魚に沖ブリの名称を使用することは好ましくないとして、平成19年7月には水産庁から「魚介類の名称ガイドライン」が発表され、商品名の沖ブリは「使用しないこととする名称」の一つとして列挙され、商品名は「ギンヒラス照り焼き」とか「シルバー照り焼き」にしなければならないことになった。

このギンヒラスは姿形がメダイに似ていることから沖メダイとも称されることもあるが、「沖」という一語をつけることで、あまり名前が知られていない魚を本物の魚との違いを紛らわしくしている例が多々ある。例えば、沖メバル(ウスメバル)、沖イワシ(ニギス)、沖サワラ(カマスサワラ)、沖アンコウ(ミシマオコゼ)、沖カマス(バラクーダ)、などである。

このように、これまでの日本では魚に各地で誰かが勝手に好きな名前をつけてきた歴史があり、これが詐欺まがいの行為を生み出してきた側面も否定できないのである。そういう問題をなくしていくために、国は以下のようなガイドラインを平成19年7月に作成して発表した。

以下の文章は本紙の読者に関係すると考えられる部分の抜粋であり、本文には魚介類の名称がこと細かく列記されている。詳しく知りたい方は 「魚介類の名称ガイドライン」水産庁 を参照してほしい。

guide line

 

そして更に今年の7月には、消費者庁から以下の改正概要も発表されている。

魚名称

 

この改正概要の中の、標準和名及び一般的名称例の整理の項目の中の海外漁場魚種・外来魚種:15種に、オキヒラスが入れられている。オキの文字が入っている魚として認められているので、これを簡単に説明しておくと、やはりシルバーワレフー(ギンヒラス)と同属であり、オキヒラスはブルーワレフーと呼ばれている。この他にホワイトワレフー(シロヒラス)もいて、いづれもイボダイ科に属している。これらの違いというのは、筆者もイボダイ科のメダイくらいしか実際には見たことがないのだから、それらを目の当たりにしてもまったく区別がつくはずがない。

何しろ、今年の改訂版だけで75種類の魚種がピックアップされているのである。魚のことを知り尽くすなんて一生かかっても絶対に出来ないことだと疾うの昔に諦めているけれど、やはり頭の中に蓄える食用とされる種類の魚の知識でさえ、世界中で発見され開発されていく未開発水産資源のスケールの大きさに筆者はまったく追いついていかないのが現実である。


マイナー魚の活用

ツムブリは世間的にはあまり知られていないマイナー魚の一つだと思われるが、この魚の漁獲が実際のところどれだけあるのか、よく見えない部分もある。なぜなら、例えば定置網の船の上では漁網を手繰り寄せると様々な魚がごちゃ混ぜで水揚げされるが、中には水揚げされた傍から漁師さんの手によって海の中に捨て戻される運命の魚たちもいるのである。

その象徴的な魚の一つがウマヅラハギであり、頭部に付いている大きく長いトゲが他の魚を傷つけるし、魚市場に上場しても二束三文の価格しかつかないので水揚げする作業がムダ、という判断で船の上から次々に捨てられるのである。

このような判断の対象になるのはウマヅラハギだけでなく、例えばイスズミのように近畿地方などでは「ウンコタレ」という俗称で呼ばれ、釣り上げた時にショックの為かそれともイカ墨のように敵を攪乱するためなのか、釣り上げる瞬間に錯乱して大量の排泄物を放出するので徹底して馬鹿にされていて、しかもその身には一種独特の臭いがあることから魚市場での取り引きは全くされないからである。

このイスズミについては FISH FOOD TIMES平成25年8月号 No.116 で採り上げているので参照してほしいが、イスズミという魚がいっぽうでは「海の磯焼け」の原因をつくっているという事実を以下のように記していた。

イスズミという魚が「海の磯焼け」の原因をつくっているという事実がある。この問題を放置すると、日本近海の漁業資源は大きな影響を受けることになり、日本の水産物の漁獲減少にもつながりかねない問題を含んでいる。この磯焼けという言葉は、元々伊豆半島東岸の方言で、寒天原料のテングサの漁場が衰退 してしまった状態を表現した言葉ということだ。一般的に磯焼けという言葉は、藻場の枯死や衰退によって、藻場に依存して活きているイセエビやアワビなどの漁獲が、著しく減少してしまう現象を表す言葉として用いられている。

藻場というのは、海藻や海草がつくる森林状や草原状の群落のことで、魚介類の産卵や棲息の場所であり、沿岸漁業を支える重要な基盤なのである。そして磯焼け現象が出て、藻場が減少する原因の一つとなっているのが、イスズミやアイゴ、ブダイといった植食性魚種の増加である。イスズミは大きな群れで藻場にやってきて海藻を食べ尽くすことがあるのだが、この魚は市場ではまったく評価されず、商品として取引の対象とならないため漁師さんの漁獲対象とならず、我が物顔でどんどん勢力を増しているということである。

臭いが強いから「食べても美味しくない」の一般論で、美味しくないから「価値がない」につながり、価値がないから市場で取り引きされない。市場で取り扱ってもらえないから「漁師さんが漁獲をしない」のであり、イスズミは漁獲されないから、海の中でのさばって藻場を食い荒らす。そしてその結果、藻場が減少して磯焼けが起こり、漁業資源が衰退している。このようにして、現在の日本近海での漁業の危うい構図が透けて見えてくるのである。

FISH FOOD TIMES平成25年8月号 No.116 より抜粋

 

マイナー魚とか未利用魚と称される魚は、やはりそれなりの原因があって、このような位置づけになっているのだと思われるが、このような負の側面をどれだけ知っているかは、水産資源を語る上で説得力を増すには欠かせないことではないだろうか。

一昔前、マイワシは「幻の魚」と呼ばれていた時期があった。マイワシが地球の海からいなくなるという極端な論理だったが今はどうだろう、大きく回復してサンマとの生存競争に打ち勝って勢力図を拡大しているという事実がある。つまり、陸地に棲む人類が海の中の海中動物の世界をそれほど簡単に隅々まで知ることが出来ないという厳然たる事実をマイワシの復権が象徴しているのではないかと考えられる。

こうしたことからすると、声高に叫ばれる悲観論調の「水産資源の枯渇」といった言葉が何とも白々しいことか、人類の陸上での浅はかな知識なんかでは、海の中のことはまだまだ見通せていないことが多々存在しているようである。

漁獲実績は決して多いとは言えない魚であるツムブリも、実は人間にまだ知られていない奥深い秘密があるかもしれず、これからどんなことになるのか分からないと思いつつ、今月号は終わりにしたいと思う。


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更新日時 令和 2年 10月 1日