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平成19年 9月号



伊勢海老姿造り鉢盛り

(伊勢海老漁解禁)




9月に入ると、日本の南から伊勢海老漁の解禁が次々と始まる。

5月から8月頃までは産卵期の為、禁漁となっていたが、南西諸島の8月下旬頃の解禁を皮切りに、9月から10月にかけて全国各地で漁が始まる。

雌がお腹に抱えた卵が孵化する為には2ヶ月ほどかかるらしく、資源保護の為に孵化するまでは禁漁にしようということである。

またこの他産卵期は身が痩せて、美味しくなくなるという理由もある。

夏の間解禁日をじっと待ちわびていた所もあるのである。



伊勢海老は長い触角と10本の足と硬い殻が特徴だが、魚市場での取引は身体のどこか1つでも欠けてしまったら、伊勢海老が主に出番となる目出度い席ゆえに、その価値は半減してしまうという厳しさがある。

ところが、伊勢海老は大きなショックを与えると、足を自ら「自切」という行為をすることがあり、これは言わば「トカゲのしっぽ切り」のようなものらしい。

伊勢海老自身は海の中であれば、脱皮を繰り返すので、そのうちに足は元のように復活させることが出来る。

ところが市場取引では、活きている伊勢海老が基本であり、足が一つでも欠けたら価値はなくなるというのに、伊勢海老に「自切」で抵抗されたのでは、高いお金を出して仕入れた者にとって、たまったものではない。

また、伊勢海老は冷たい環境を嫌うので、 生きた状態を保ちたいならば、あまり冷やしてはいけない。

おが屑やもみ殻、または濡らした新聞紙などの寝床に入れてやれば、1週間くらいは生きているようだ。

しかし、難しいのは死んでしまうと「アシが早い」のである。

つまり、死後は急速に鮮度劣化が進むので、早めに冷蔵するか、ボイルしなければならない。



ところで、読者諸氏はこの写真の海老を見たことがあるだろうか。



あまり見たことのない人が多いのではないかと思うが、これは「五色海老」という伊勢海老の仲間である。

食用として市場に出回ることは少なく、主に剥製に廻されることが多いということである。

実のところ筆者はこの五色海老を出張先である人から頂いたのであるが、これを持ち帰りたくても、旅程上どうしても無理があった為に、これを現地に残してきてしまったという悔いがあった。

また、頂いた方へ大変申し訳なく、写真には撮っておいたので、これを読者諸氏に紹介することで、免罪を願おうというわけである。

(ご好意を無にして申し訳ありません)



五色海老は上記写真で判るように、触角の大きさや色に大きな特徴がある。

まず第1触角はやたら細くて長く、しかも途中から二股に分れている。

そして第2触角は、ピンク色の付け根が異常に太く長い。

色は全体が緑色のベースに黒色が散在し、腹の節は黄色で縁取りされ、触角にはピンクと白い色がある。

このようなカラフルさから「五色」海老と名づけられたようである。

弊紙の今年度5月号では「セミ海老」を紹介したが、これは伊勢海老の仲間のなかでも、非常に希少価値のある海老であったが、この五色海老もそれに劣らず希少であるらしい。

ただし、セミ海老は主に食用になるが、この五色海老は見た目の派手さから剥製になることが多い。

伊勢海老の漁解禁と同時にセミ海老も五色海老も解禁となった。

車海老もこれから本格シーズンになる。

この秋はサンマや秋鮭だけでなく、海老にも注目してほしいものである。



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