ようこそ Fish Food Times  

The Fish Food Retail Net


平成19年 4月号



天然白身魚の大型鉢盛


材料はアオダイ(別名ホタ、アオゼ、ウンギャルなど)



写真のように天然の白身魚だけで、このように大きな鉢盛りにするのは、あまり見かけたことはないのではないだろうか。

実はある「特注品」なのだが、「ホタ」という脂っけの少ない白身魚でのご指名だった。



この写真の魚が、ある魚市場の地面に転がされていた青鯛(ホタ)である。

 英名でjapanese snapper(ジャパニーズスナッパー)、青鯛(アオダイ)が正式日本名であり、その他、アオゼ(関東地方)、ウンギャル(奄美地方)などの呼び名がある。



魚の旨味というのはご存知のように、本まぐろの大トロを始めとして、その脂肪分が多いほど美味しいとされる。

また、魚が美味しい季節というのは、魚が産卵期を向かえる前に脂肪分をタップリと貯め込んだ時、つまり「旬」が美味しいというのも、まさに脂肪分と美味しさは表裏一体のように関係している。

ところが、この魚「ホタ」というのは、そんな脂肪というのにあまり縁がなく、皮下脂肪も非常に薄く皮と身がきっちりとくっついているために、皮すきは必ずしもスンナリとはいかない。

これはいわゆる深海魚系を除く南方系の白身魚に、ほぼ共通して言える特徴であり、ホタもその例外ではない。

そんな「脂っけの少ない」白身魚なのだが、美味しいのである。

「脂がのって美味しいですよ・・・」というのは魚売場での常套句であるが、

脂がのってなくても美味しい魚があるのである。

脂ギトギトの大トロの食味が最高なのではなくて、魚にはそれとは違う食味というのがあるのだ。

じっくり味わいながら噛んでいくと、ほんのり控え目な旨味を感じられるのが、ホタのような「天然白身魚」の良さである。

 狭い生け簀でタップリと餌を与えられ、丸々と太らされた養殖魚の脂肪に慣らされて、このような天然の白身魚の美味しさを理解出来ない、という人も多くなってきているようだが、中には写真の特注刺身ように、贅沢な味わい方をする人もいるのである。

魚にはそれぞれ独特の味わいがあるのも魚の特徴でもあるのだから、もっと色々な魚の美味しさを楽しむようにしていくべきであろう。

世界的なブームとなっている魚食ニーズの高まりと一線を画すように、魚離れ」になってしまっている日本の魚食事情は、そんな魚の美味しさを伝える努力を怠り、楽に扱えて効率的に儲かりやすい魚にばかり目を向けてきた、その売手側に対する強烈なしっぺ返しなのかもしれない。


商品化例に戻る

ご意見やご連絡はこちらまで info@fish food times


<home>