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The Fish Food Retail Net
平成21年 11月号
<アメリカ番外編>
サンフランシスコ お魚事情
筆者は日本時間11月1日現在、サンフランシスコの南、サンノゼ市に滞在中である。
サンノゼ市というは、ご存知「シリコンバレー」という名前で知られている所だ。
更にサンノゼ市の中のクパティーノという地域にあるホテルに宿泊している。
そのクパティーノのホテルで、Fish Food Timesを更新をしようとしている。
更新作業は米国現地時間10月31日の早朝に始めたが、日本時間の11月1日の後半になってしまった。
アメリカではまだ10月31日なので、こちらの時間に合わせてもらおう?
さて、クパティーノで世界的に有名なのは、あのアップルの本社があることだ。
アメリカ時間10月30日の13時前後に、筆者は上の写真のアップル本社を訪問し、スティーブ・ジョブズCEOの完全な病気回復を願い、博多人形「お福さん」を贈呈してきた。
ホルモンのバランスを崩し、ガラガラに痩せてしまった彼を見るに耐えず、日本では「お多福」とも呼ばれ、ふくよかな身体で親しまれている「お福さん」は、スティーブ・ジョブズに幸運を授けてくれるに違いないと考えたからである。
しかし、アップルやスティーブ・ジョブズのことは、筆者にとっては非常に関心の高いことなのだが、Fish Food Timesの読者にとって、特に関心も興味もないことかもしれないので、この辺でこの話題は止め、魚のテーマに戻すことにしよう。
さて、今回のテーマは「サンフランシスコお魚事情」である。
アメリカの中でも、サンフランシスコはワインなどを含めた食の宝庫であり、もちろん「魚の食べ物」は全米で1番豊富なことで知られている。
今回は、サンフランシスコとその周辺の「お魚事情」をリポートすることにしよう。
これまでの巻頭を飾る写真は、基本的に筆者自身が作成したものを使ってきたが、毎月1日にはFish Food Timesを更新するという「暗黙の約束」の事情から、今回そういう訳にもいかず、写真の「カリフォルニアンロール鮨」となった。
10月26日から今日まで6日間、主にレンタカーを借りて、サンフランシスコ近辺の様々なスーパーの流通事情を視察したけれども、「商品」として「使える・・・」と感じるたのは、巻頭写真のような「カルフォニアンロール鮨」だけだと思った。
サンフランシスコだけではなく、これまで筆者が見てきたところでは、ロサンゼルスやニューヨークなど米国の大都市でも、スーパーで売っている「鮨」に関しては「にぎり」というのは少数派であり、ほとんどが海苔を中に巻いた「裏巻き」の巻きものが大半である。
上の二つの写真は、あるスーパーの惣菜売場の一角に、対面方式の場所があり、そこで日本人ではない黄色系の人が、手巻きで巻いているので、日本人の私にも充分食べられるものだった。
しかし、別のあるスーパーの惣菜売場で申し訳程度に品揃えしている店にある、見るからに工場で生産したアウトパックのそれは、海苔巻きではなく、まるで「糊巻き」のように米粒が潰れていた。
過去にそれを米国の他都市で試食を経験した筆者は、その選別が出来るようになっていたので決してそれには手を出さなかった。
サンフランシスコだけではなく、アメリカの主な大都市の魚売場は、下の写真のように「対面裸売り」の「切り売りブロック販売」が主流だ。
この対面販売が売上げ的にペイ出来ないスーパーは下の写真のように、アウトパックのトレー入りや真空袋入りの形態で、魚を何とか品揃えしている。
アメリカでは基本的に「刺身になるような魚は売っていない」と考えるべきで、アップグレードなスーパーでは惣菜の鮨売場の一角に、少しだけ「刺身らしきもの」を見かけることがある程度だ。
筆者はアメリカの刺身の程度を知る為に、サンフランシスコの創作和食で有名なジャズクラブ「yoshi's」において、試しに刺身を注文をしてみた。
下の写真の「Sashimi Ichiban 」は、何とこれで18ドルもした。
日本円で「1切れ225円」程度という計算である。
もちろん日本のような鮮度を期待してはいけない。
真っ暗とも言える照明の下では色目など確認出来るはずもなく、この写真も明るさをギリギリまで補正して、何とか見る事が出来るようになった。
サンフランシスコというのは、アメリカで1番魚を食べる地域だということなのだが、ここで魚の鮮度と品揃えはこんな程度なのだから、後のアメリカの魚事情は推して知るべしで、魚の生食は基本的に期待出来ない。
しかし、今回は「サンフランシスコお魚事情」がテーマであるから、この他のお魚事情も紹介しよう。
まずサンフランシスコの有名料理と言えば、このクラムチャウダーだ。
観光名所フィッシャーマンズワーフの名物として知られている。
Clam というのは、総称して2枚貝のことだが、このClamをくりぬいた丸いパンの中に、chowderという魚介類と野菜類を煮込んだスープと一緒に入れたものだ。
次に、これらは日本でもお馴染のエビとカニだが、
ハーフロブスター $26 ダンジネスクラブ $29
その価格からすると味もボリュームも、満足感はあまり感じなかった。
「フム・・・、こんなものか・・・」というレベルである。
しかし、意外に満足感を感じさせられたのが、このシチュー状の料理だった。
シーフードチオピーノ $24
トマトベースのシチューにエビ、カニ、ムール貝などが入っており、カニの身もふんだんにトッピングされていたが、魚介類は原形を留めずバラバラになっていた。
形を崩して「バラバラにした魚を混ぜ込む料理」はこれだけでなく、サラダにも多く、アメリカの魚料理は「バラバラ」にすると美味しいようだ。
この他、例えば魚をバラバラにして料理したものとしては、
サーモンバーガー $6.95 シュリンプ&クラブバナック $6.5
これらはいづれも魚を刻んだ料理となっている。
アメリカ人にとってシーフード料理というのは、魚の形とその違いを楽しむということは少ないようで、魚がどんな形になろうと、魚の味を感じさせられるものがあれば充分のようである。
カルフォルニアの魚事情は「まあ、こんなものか・・・」と感じていたけれど、それは全く予定していなかったことなのだが、意外な驚くべき発見があった。
クパティーノの宿泊先コートヤードマリオットの同じ敷地内にスーパーがあった。
99 RANCHI MARKETという店なのだが、ほんの軽い気持ちで飲食類の用を足す為に入店してみて驚いたのだ。
このクパティーノに、こんなに魚介類の品揃えの充実した店があったのか・・・!と、本当に心の底からの驚きだった。
筆者のアメリカに於いて知る限りでは、WEGMANSやWHOLE FOODS MARKETの、魚介類の品揃えの良さは多少知っていたけれども、この99 RANCHI MARKETの魚介類の品揃えの良さはケタ違いだった。
生魚の裸売りだけでも、こんなに多くの種類が品揃えされているのだ。
筆者の知る範囲の限りでは「圧倒的に全米で1番」なのだ。
こんな魚売場があるとは、本当に全くの予備知識がなく驚いてしまった。
この他にもRケースの中には、解凍したエビやブロックにした切身などが、本当に驚くほどのレベルで品揃えされていた。
もちろん、パックした魚介類や平オープンの冷凍ケースには、数多くの日本語も混じった冷凍魚介類が豊富に存在していたが、一番の驚きは何と言っても下の写真だった。
これはご存知、活魚水槽である。
これがアメリカで見られるとは想像もしていなかったのだ。
一つや二つの水槽ではなく、まさに水族館並み(?)の水槽が天井まで並んでおり、魚もタップリと泳いでいて、これらをこのボリュームで維持していけるというのは、それなりの売上げが計算出来ているのは間違いないだろう。
筆者は、今まで米系スーパーばかりに注目してきたけれども、アメリカ在住の東洋系人種をターゲットにした、こんなスーパーがあったのだ。
いわゆる「中国系スーパー」というものだと思うが、中国人だけではなく、日本人や、更には韓国人なども意識した品揃えになっていて、東洋系人種がひっきりなしに数多く来店して繁盛しており、まさに「東洋系の台所」という雰囲気だった。
また、その99 RANCHI MARKETの周囲には、中華料理を中心として、和食、韓国料理など何十軒もの店が並んでおり、そこの夕食時のテーブルは、ほとんど満員で賑わっているのである。
そこは米語(英語)ではなく、周りからは中国語ばかりが耳に入り、サンフランシスコのチャイナタウンにいるような雰囲気だった。
まだまだ報告することは山ほどあるのだが、あまりにも長くなるので、ここらで「サンフランシスコ お魚事情」の報告は、そろそろ打ち止めとすることにしよう。
筆者はアメリカの訪問が初めてではないのだが、今回本当に「アメリカの懐の深さ」というものを、改めて感じさせられた。
多くの人たちを世界中の国から集めている「多民族国家アメリカ」は、金融危機などで、とても簡単に揺らぐような柔なものではないと感じた。
昔のような活気を取り戻す為には、日本も狭い世界に閉じこもるのではなく、アメリカのように世界に向けてオープンに胸を開き、世界中の人達を受入れるようにしていかなければならない。
魚を食べることについても、日本は魚食民族としてのプライドばかりではなく、「魚離れ現象」を乗り越えていくために、アメリカにおける魚の食べ方も、頭から否定することなく、一つ参考にしてみてはいかがだろうか。
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