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平成19年12月号



長流れ造り鉢盛り宴(うたげ)




12月の年末商戦において、昨年まで刺身盛合せの製造が間に合わなくて、チャンスロスを多発していた超繁忙の魚売場には、絶対にお勧めと太鼓判を押せる商品が、これ。

2年前の平成17年12月号では、下の写真の、スピーディ舟盛り(流れ盛り)紹介していた。


今月紹介する「長流れ造り鉢盛り(宴)」の商品化は、この延長線上のものである。

これらの商品に一貫した考えとなっているのは、「スピーディ」というものである。

だが、スピーディを求めるあまりに、雑で価値感のない商品となってしまったのでは、目出度い「ハレの場」に相応しい商品とはならない。

見た目の美しさや高級感を損なわずにスピーディを実現する、という二律背反的目的のためには、長流れ盛りという「刺身の長い山」を活用するのがポイントである。

刺身の一山が4切れや5切れを数多く造るよりも、10切れ前後の長い山を数少なく造る方が、間違いなくスピーディである。

価値感の一つの要素には、やはり容器も重要となる。

「馬子にも衣装」というのは真実で、見かけの立派な容器に盛付けた刺身は、質素な容器のそれよりも随分豪華に見えるものだ。

そこで登場するのが、今年の8月号「おもてなし鉢盛り」で紹介した、あの容器である。


これは「宴」と命名されたプラスチック容器で、信楽焼風の容器が品の良い豪華さを醸し出す優れものである。

この容器に刺身を盛付けると、既存の他の容器に比較して随分見かけが良くなるのだが、それは何故だろうと考えていたところ、ある事実に気がついた。

信楽焼風の材質や、波打って変形した形状だけに要因があるのではなかった。

それは変形トレーなので気づきにくかったのだが、実はこのトレーの縦と横の長さは、ほぼ「黄金比」の対比で作られているのだ。

黄金比とは「1:1.61803」のことで、これは「人間にとって最も美しく感じることの出来る比率」と言われており、美術や建築の世界においては欠かすことのできない美的要素とされている。

他のトレーに比べると、プラスチックトレーの宴シリーズは多少割高である。

しかし刺身の技術が未熟だとしてもそれをカバーしてくれる様々な要素が隠されており、この容器を使えばきっと誰が刺身を造っても、それなりに見栄えの良いものにすることが出来るのだ。


上の写真は大分県中津市に所在する魚売場が評判の店で、現在別刷りチラシによって予約受付中の「年末年始予約刺身」の写真である。

宴シリーズの容器の中で一番大きなものを使って、「スピーディ」を大前提としながらも、「豪華さ」を損なわないように配慮した商品である。

大型の刺身盛合せは、特に12月31日大晦日だけ、突出して一気に集中した売れ方をする傾向があるので、この中津の店のように日頃から地域で評価の高い魚売場を抱えた店ほどその対応が難しい。

その悩みを克服する方法は、全国の各地でもこれまでに色々と考えられてきたはずで、弊社もやはり過去に随分色々と工夫したものを提案してきた経緯がある。

そして、現時点で最高の形の「悩みへの解答」が、これなのである。

 今年の年末商戦を最高の形で締め括るために、これらのことを参考にしていただければ幸いである。


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