ようこそ Fish Food Times  

The Fish Food Retail Net

The Fish Food Laboratory Inc.



平成22年 5月号 No.77


世界初!? ネット初公開

養殖ヤイトガツオ平造り

suma



今年も「目に青葉、山ホトトギス、初ガツオ」の季節がやって来た。

カツオと言えば、よく知られている本ガツオが「常識」かもしれないけれど、日本に初めて、こんなカツオが現れた。

カツオとしてはチョット面白い「世界初」の養殖カツオである。

そのカツオは「ヤイトガツオ」という種類である。別名では、スマガツオとか、オボソカツオとも呼ばれている、スズキ目サバ科の一種で、本ガツオの親戚である。

日本では中部より南に多く、南西諸島から熱帯海域の沿岸部に、小さな群れをつくっているということである。

suma

 

katuo2

 

上の魚が、今回紹介する養殖のヤイトガツオ。

下が皆さんお馴染の「天然本カツオ」である。

ヤイトガツオの特徴は、腹部のカマの付近にある数個の斑点だ。

関西で「ヤイト据えたろか!」と凄みを利かせて啖呵を切る言葉があるが、これは標準語で「お灸を据えるぞ!」という意味を、脅しを込めるような強調した言葉だが、この斑点が関西の言葉でお灸(ヤイト)に似ているので、関西でヤイトガツオの名前となったようだ。

見た目でお判りのように、養殖ヤイトガツオは養殖魚独特の「ズングリムックリ」の魚体をしている。

元々、本ガツオよりも体長が短く、体高も高い傾向にあるが、養殖過程の富栄養化によって更にその特徴が高まったという感じである。

このヤイトガツオを節におろして皮をすくと、以下のようになる。

皮の下にしっかりと脂が乗っているのが確認出来るであろう。

yaitofusi

皮のほうではなく、身の方はこういう色をしている。

yaitohanmi

天然のヤイトガツオを知っている人ならば、首を傾げるはずである。

そう、身の色の赤さが足りないのである。

天然のものはもっと濃い目の赤色が赤々としていて、もっと鮮やかなのである。

つまり、これも養殖本マグロと似たような傾向があるようで、本来の赤い色が、脂肪によって少しくすんだような色になっているのだ。

しかし、色は少しくすんでいても味はなかなかのものである。

天然のヤイトガツオは、一般的に本ガツオに比べると味の点でも格下と見られているが、この養殖ヤイトガツオは、豊富な脂肪分によって「戻りガツオ」以上の味とも言える。


この日本初の美味しい「養殖ヤイトガツオ」を独占販売している企業がある。

oboso  oboso2

 

 obosomise   obosomise2

obosomise3

その店は、鹿児島県奄美市にあるグリーンストア(TEL 0997-53-7087)という企業で、

上の写真はヤイトガツオ(地方名称はオボソカツオ)を販売しているチラシと店頭の風景である。

グリーンストアは、最近世界中でワシントン条約の是非で話題になったクロマグロも販売しているが、そのクロマグロを、卵からの完全養殖に世界で唯一成功している、

近畿大学の養殖試験場がある奄美大島という地の利を利用して、以前からその近畿大学産養殖本マグロの販売に力を入れてきた。

そして今回、近畿大学の養殖試験場が新たに卵からの完全養殖に成功した、ヤイトガツオを現地で独占販売することになったのであるが、その結果、お客様から上々の評判を受けることになったのである。

グリーンストアは全国の一般消費者だけではなく、スーパーなどへの業務筋に向けても、近畿大学産のクロマグロを始めとする各種養殖魚を小売り及び卸しを行っている。

だが、ヤイトガツオの在池量はそれほど多くないと聞いているので、卸しが出来るほどの量があるのかどうか定かではないが、今後に向けて販売の興味があるようであれば問い合わせてみるとよいだろう。

ワシントン条約は幸いにも否決されたけれども、今後世界で希少魚種に向けての動きが、どのようになっていくのか予断を許さないものがある。

黒マグロだけでなく、昨年本ガツオが例年にない不漁となってしまったのは記憶に新しい。

過去にふんだんな漁獲が当たり前となっていたのに、突如日本近海から姿を消してしまった、あのニシンのような二の舞いは、カツオでやってはいけないだろう。

卵からの完全養殖に成功したヤイトガツオはそういう意味で新たな光明となるかも知れない。



 更新日時 平成22年 5月 1日


ご意見やご連絡はこちらまで info@fish food times


その他、過去に掲載した商品化例


The Fish Food Retail Net

The Fish Food Laboratory Inc.

(有)全日本調理指導研究所


<home>