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平成21年 7月号
小蛸の唐揚げ用
半夏生という行事も、だいぶ一般的に知られるようになってきたようだ。
7月の魚と言えば「丑の日のウナギ」というイメージが非常に強いが、最近は半夏生が広く知られるようになるしたがって、7月の蛸のイメージも浮上してきていると感じられる。
蛸の価格はここ数年の間、かつてないほど高い相場となり、庶民的な魚の代表格だった蛸が、簡単には手が届かないほどになっていた。
しかし昨年秋の金融危機以降、蛸の相場も随分こなれてきて、最近はやっと昔の庶民的な価格に戻りつつあり、店頭の売価も、少しずつ以前の高騰前のレベルに近づいているようだ。
昨年までは「半夏生」と言えども、あまり積極的に売り込めないような価格だったけれども、今年の価格状況からすると、売価も魅力的な設定が可能となってきたので、今年の半夏生には改めて主役としてタコが復活である。
蛸は大きいほど高く、小さいほど安いというのが世間相場であり、刺身や鮨ネタに使い勝手の良いものは、やはりそれなりの価格を覚悟しなければならない。
逆に小蛸と呼ばれる茹でた後でも150gから250g前後にしかならないものは、刺身や鮨ネタに形を整えるのが難しいからか、高く評価されないので安値で手に入る。
この小蛸は安値で買い叩かれるほど価値がないのかというと、そうでもないだろうという発想が巻頭の写真である。
小蛸というのは、その価値が認められていないので、下の写真のような形で、何ら工夫なく扱われているのが普通である。
こんな扱いでは安売りしか手はないということになる。
そこで、小蛸に商品価値を与える方法である。
一つの例として、写真のようなものを準備する。
乱切りにした小蛸に唐揚げ粉をまぶす。
次に乾燥した青さの粉をまぶす。
これをヒマワリ銀カップに入れたら完成である。
今更取り上げるまでもないかもしれないが、
小蛸の活かし方として、もっとポピュラーなのが、
ご存知の「タコキムチ」だ。
小蛸の唐揚げ用のように油で揚げる工程が必要なものと違って、そのまま食べられる完成品である。
これも「小蛸」の大きさで充分な商品となる。
小蛸で流通しているのはほとんど真蛸なので「味」は良いのだ。
いっぽう柳蛸と呼ばれている北日本で漁獲される大きな蛸は、図体が大きいからか、身質が柔らかく、噛んだ時も味わいが少ない。
同じく北日本で獲れる水蛸と呼ばれている3mにもなる更に大きな蛸は、大きさはせいぜい1m程までの柳蛸とどこがどう違うのか、大きさ以外の点で筆者はよく見分けがつかない。
ちなみに下の写真は真蛸の生の状態。
これを内臓を抜いて塩もみする。
塩もみをした後の状態。
表面だけを湯霜し、皮すきをして中芯だけにする。
そして、これを薄造りにする。
これが表面の皮と吸盤だけ湯霜をして、中芯のを薄造りした真蛸の刺身である。
本当はこれを今月号の巻頭写真に持っていきたかったのだが、過去に、生タコの蛇腹造り(平成16年7月号)を掲載しているので、似たようなものと指摘されることを避けたということである。
生蛸の刺身は、まさに噛めば噛むほどの「旨味」を味わえるから、「本物の蛸の美味しさ」を知ることが出来る。
半夏生には、ぜひこのような生蛸の刺身も品揃えしてほしいものだ。
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