The Fish Food Retail Net
平成21年 3月号
ヒラメの薄造り
ヒラメが安い!
このところ、養殖活魚のヒラメが1,000円/kg以下も珍しくない状況のようだ。
昨年の同じ時期と比較すると、底値を比較すれば「半値」となっている。
安値の原因は、このところの円高とウォン安によって、韓国の養殖ヒラメが安い価格で国内へ大量に流入し、
これがヒラメの相場を急落させる大きな原因となっているようなのである。
この安い価格のタイミングを逃すのはもったいない話だ。
この絶好の機会に、ヒラメを大いに拡販するため、今月号の内容が何かヒントになれば・・・。
ヒラメの産卵の時期というのは、北と南ではだいぶズレるようで、南の九州南部地域ではそろそろ産卵期に近づき、3月の初旬には早くも産卵期を迎えようとしている一方で、北の北海道では産卵にはまだ早く、初夏の6月から8月頃になるという地域もあるのだ。
この時期全国を平均すると、産卵を前にして脂肪をしっかり蓄えており、年間を通した中で、3月のヒラメはまだまだ美味しい季節と言える。
天然のヒラメと養殖のヒラメでは相場は格段の開きがあり、もちろん物次第ではあるが、養殖は天然の半値以下になることも多い。
この産卵の時期、養殖は天然より不味いかというと、身が活きてさえいれば、天然の死後硬直したものよりは旨い。
上の写真は黒い背側から見たものだが、この写真だけでは天然物なのか養殖物なのか、なかなか見分けがつかない。
ところが、裏返してみると分る。天然物の腹は真っ白なのである。
養殖物の腹は白黒になっているので、簡単に見分けることができる。
これは養殖のヒラメに「パピローム」という腫瘍の一種ができて、これが原因で裏の方が、白地に黒く斑な模様を描くのである。
ヒラメは稚魚の放流も行われており、まだ小さい幼少の頃に放流された、半分養殖で半分天然のヒラメの、小さい時についた腹の黒い紋様は、大人に成長しても、まるでホクロのように消えないということだ。
半分天然のヒラメは、純粋天然のものと比べても、味の違いはあまり無いということなのだが、市場での評価は「黒いホクロ」があるだけで安値になってしまう。
養殖だからといって、バカにしてはいけない。
世の中には、養殖技術にこだわったものもあり、その一つに、長崎県五島の「海湧水育ちヒラメ」というのがある。
地下から湧き出る海湧水は、一年を通して20℃前後と温度変化が少なく、海上養殖では水温が高くなり成長が鈍る夏でも、海湧水育ちヒラメは安定して成長を続けることが出来る。
そのため、一般の海上養殖や天然のものと比べると成長が早く、大型で身に締まりがあり、身が厚いのが特徴となっているということだ。
また、病原菌のいない地下海水を利用するので、海面養殖のネックとなっている「罹病対策の薬品投与が不要」となり、このこだわりヒラメは孵化から成魚まで、一切薬品類を使用していない「無投薬養殖」を謳っている。
海湧水育ちヒラメのようなこだわりの商品は、市場に出荷されて競りにかけられたりすることはないので、出荷価格が相場に左右されることはない。
だから、このような相場状況時でも特に安くはない魚を扱う時は、それなりの商品化技術が必要となる。
例えば下の刺身は、今月号のテーマ写真と少し似てはいるけど違う。
ババロアのような大根けんを2ヶ所つくっているので、称して「ババロア2段盛り」なのだ。
身質が固いヒラメは、薄造りにするのが基本だが、薄いままではボリューム感に欠けることも多い。
これを補完するのが、このババロア盛りである。
海湧水育ちヒラメのようなこだわりのものではなく、安値相場の渦中にあるヒラメを使って、この写真のような刺身を造れば、驚くほどのコストパフォーマンスが実現するはずである。
今月はヒラメだ・・・。
更新日時 2009年 3月1日(日)
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