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平成20年 5月号


オコゼ姿造り




顔はつぶれ、デコボコで、汚れも目立つ、ご存知「悪相」のオコゼ。

悪相だけではなく、毒を仕込んだ背ビレの「懐刀」を持つ、危険な魚でもある。



一番美味しいのは5月後半から7月にかけて、産卵前に魚体が充実する頃だと言われ、夏場にかけて美味しくなるので「夏のフグ」とも呼ばれている。

この魚を調理するには、最初に「毒針の武装解除」をしなければならない。


そして解体を行うが、オコゼの場合は簡単に内蔵その他を捨ててしまってはいけない。

正身以外の部位を生かした商品化をするのだ。


写真は既にボイル処理済みの肝臓、胃袋、皮、身皮などを含めた、姿造り用の素材である。

上記の姿造りの写真はこれらを全て盛りつけたものである。

頭の大きさの割に、魚体の大きさはそれほどでもなく、活き物のkg当りの仕入れ単価は、5,000円以上しても何ら驚くことはない。

だから、このオコゼという魚を正身だけで盛りつけたら、あまりにもコストパフォーマンスが悪く、上記のように正身以外の部位を盛りつけざるを得ないという事情もある。

以下の写真は価格に相応しいボリュームを付ける方法として、オコゼ以外の魚を加えたものである。更に価格が高くなるけれども、少ない量で「あまりにも高い」と思われるよりはボリュームを価格に見合ったものに近づけるという考え方である。


姿造りに使った頭や中骨も、最後に唐揚げにして食することはもちろんで、魚の皮というのを食べたことのある人は多いと思うけれども、肝臓を食べたことのある人は、それほど多くはないと思われる。

また胃袋はもっと少ないだろうし、身皮を食べることもあまり多くはないと思われる。

「捨てるを活かす」という発想は、オコゼのような高級魚においては、なくてはならない手法なのである。


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