平成20年 1月号
新年明けましてお目出度うございます。
その折々に感じたり、閃いたりした、
魚の小売りに関する様々な情報を、
ヴィジュアルな形で発信をしていきたいと考えています。
今年も月に一度の更新に務めて参ります。
どうかお暇の節は、時々当サイトにお立ち寄り下さい。
正月祝い膳
お正月の食卓に、こんな「お刺身祝い膳」はどうだろう。
この写真はあるスーパーで、今も(1月3日迄)実際カタログに載せられ、「現在進行形」で進められている「年末年始の予約刺身」の、原形となったコンセプト写真である。
各家庭それぞれに、大小各種の「おせち」が並んでいると思われるが、常温でも日持ちすることが前提で造られたそれとは違い、冷蔵での温度管理が前提の、鮮度の良い刺身が並べば、美味しいものに目がない人は、いよいよ困ったことに、「迷い箸」に拍車がかかってしまうというものである。
おせちの重箱もこの写真のように「中仕切り」が、「容器イン容器式」になったものが増えてきた。
仕切りの効果で「整然とした」見栄えが期待出来る。
それとと同時に製造現場レベルで言えば、「容器の中の容器」に、中身を別の場所で盛付けて、最後にパズルを組み合わせるように、その容器を所定の場所に組み込んでいくことで、分業方式の優れたメリットを発揮することが出来るのである。
大量のおせちの注文を抱えた店は、集中する大晦日の納品日に間に合わせるべく、仕切り容器を使えば、そのメリットを最大限に活かせるはずであり、大晦日や正月に集中する「刺身盛合せ」も、その手法で乗り切ることは出来ることになる。
仕切りを使ったトレーは、通常でも色々なものが開発されている。
しかし現実としては、どちらかと言えば使ってはみたものの長続きせず、結果的に使われなくなった残りのトレーが、倉庫に死蔵されているとか、その後のリピートがされなくて、その存在を忘れられているという例が多いようだ。
少し古いが2005年2月の作品。
枠が大と小に分れていて、枠のサイズもやや大きめ。
2005年7月の作品。
比較的小さな枠なので、中に納める量も少なめになる。
これは黒の外枠と赤の中仕切りが別になっているタイプ。
比較的小さな九つの枠が一体となっていて、仕切りトレーとしては、多方面で使われている人気の型。
仕切り枠のあるトレーは、現在メジャーではなくマイナーな存在である。
そのメリットの一つとして、刺身の技術が未熟な人も、「商品がそれなりのものに見える」という面白い現象がある。
刺身を覚え立てのパートさんが刺身を造っても、整理整頓に有効な仕切りというのが、整然としたイメージを作って、その未熟さをカバーしてくれるのである。
しかし、技術の未熟さをある程度は隠せても、これが売れるかどうかは商品内容次第である。
お客様が購買意欲をそそられるコストパフォーマンスを、きっちり打ち出せれば、まともに売れる可能性はある。
しかし、価値を読み間違えて高い売価をつけ過ぎると、それは惨憺たる結果となってしまい、仕切りトレーの使用は次第に尻すぼみとなってしまうのである。
お客様は「価値とボリュームのバランス」を、しっかりと自分の価値感で判断している。
決して軽率に見た目だけでは判断しない。
欲張り過ぎて高い売価をつけ過ぎてはいけないのである。
本当にその商品は価値とボリュームのバランスのとれた商品になっているのか、
奇異な発想や、虚仮威しの商品だけでは長続きするものは作れないように、その原則は仕切りトレーでも例外ではないのだ。
まともな「売れる価値ある商品」を提供しなければならない。
そのために今年もこの「Fish Food Times」で、何かしら商売のヒントを掴んでほしいものである。