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The Fish Food Retail Net
平成19年11月号
ぶりトロシャブ
魚のシャブ鍋の商品化というのを、弊社が唱え始めてもう何年になるだろう。
少なくとも15年以上は経過しているのではないかと思う。
しかし現時点において、世の中はまだ魚のシャブ鍋が広く一般的に認知され、家庭でよく食べられるようになったという状況にはないようである。
鯛シャブ鍋
以前提案していた商品化の一例としては、上の写真のようなものだった。
鯛のシャブシャブは、皮の旨味がプラスしてなかなか美味しいのだが、いかんせん見てのごとくボリュームという意味ではあまりに見窄らしく、その売価とのバランスにおいては、コストパフォーマンスに乏しいと言わざるを得ない状態だった。
そこで、そのボリュームの無さを少しでもカバーする目的で、この写真のように、トレーにフィルムを巻いたダブルパックを商品化をしてみた。
しかしそのような苦肉の策も、豚シャブなどのボリュームと比較すると、やはりコストパフォーマンスの低さというのは、いかんともしがたいものがあった。
基本的に魚のシャブ鍋は腹いっぱい食べることが出来ない、というコスト面において畜肉と比較した時のハンディがあり、その壁が販売面で限界となっていたことは間違いないようである。
これまでの努力というのが、いつも徒労に終わってしまうことに疲れ、魚のシャブ鍋の提案そのものに対して諦めムードになっていたようなところへ、今年の冬は、降って湧いたような助っ人が現れた。
それは「キリン一番搾り生ビール」のCM「富山のぶり」篇がスタートしたのである。
キリンビール株式会社は「キリン一番搾り生ビール」の「うまいものシリーズ」CMの
47作目となる「富山のぶり」篇が、11月17日から放映開始されるということである。
スーパーの店頭などでは株式会社ミツカン、キリンビバレッジ株式会社とのコラボレーション企画として、
「ミツカン・キリンのいちおし鍋」をテーマにした売り場を全国約2,000店で展開し、
この冬の食卓を盛り上げていくらしい。
また、2008年1月からは別企画で「ぶりしゃぶ」CMを投入予定。
ということで、言わば魚のシャブ鍋の販促に「援軍」が参上したようなものである。
ぶりシャブ
魚売場にはキリンビールまたはミツカン酢から、店頭販促品として「ぶりシャブのイメージパネル」なども投入されるらしく、魚のシャブ鍋を拡販したいと考えながらも、これまでなかなか上手くいかなくて悩んでいたところには、本当に願ってもない援軍が現れたと言えるのではないだろうか。
ぶりシャブの場合は鯛シャブと比較すると、同じ価格ならばボリューム的に随分と食べ応えのあるものが提供出来る。
この食べ応えのあるボリュームに「美味しく食べる」方法を加えるとすれば、それは「水菜」であろう。魚のシャブシャブと水菜は非常に相性が良い。
最初の写真にあるように、水菜を魚で巻いて食べると、シャキシャキとした歯応えが加わって、とても美味しく食べることが出来る。
シャブ鍋というのは、素材への複雑な味付けなどがなく、素材そのものを、単純にポン酢と紅葉おろしなどで味わう料理なのだから、一緒に食べる野菜も色々揃えるのではなく、単純に絞った方が良いのではないだろうか。
魚のシャブ鍋はとてもシンプルな料理方法だけれども、素材そのものの味が問われるだけに、嘘はつけない。
どんな魚がいつ頃美味しいのか、といったようなことが率直な形で伝わってくる。
ぶりシャブだけではなく、色々な魚を試してみると良い。魚の味の違いというのをストレートに感じることが出来るのだ。
ここでその違いを言葉にすることは出来ないが、実は最近、様々な魚のシャブ鍋の試食をすることによって、非常に面白い事実を発見することが出来た。
しかしこれは、後々の楽しみとして今は伏せておくことにしたい。
今年の冬は「援軍」の力を借りて、魚のシャブ鍋に力を入れていこう。