ようこそ Fish Food Times  

The Fish Food Retail Net

The Fish Food Laboratory Inc.




平成19年10月号



大学卒業マグロ




この写真はあるスーパーの魚売場の壁際最上段に掛けてある特大パネルである。

このようなパネルが常設の形で掲示されているのは非常に面白い。

特大パネルの下の冷蔵ケースには、写真のように「奄美大島産養殖本マグロ」が売られていた。


売価は大トロ 1,580円/100g、  中トロ 1,380円/100g、赤身 980円/100g、というもので、生の養殖本マグロにしては非常にお買得な売価であった。

この養殖本マグロを売っているスーパーの位置する場所は、鹿児島空港から南へ400?あまり南へ下った奄美大島の奄美市で、市内中心部の繁華街にある(株)グリーンストア入船店の魚売場の情景である。

200坪弱のこの店で、社長の里氏はこの奄美大島産本マグロの販売に非常に力を入れておられ、店頭にはこのような常設の看板も設置されている。


「こんなことしなくても、マグロくらい何時でも何処でも食べられるのに・・・」

と思う人もいるかもしれないが、実はまさに「そうは問屋が卸さない」の格言通り、この奄美大島産養殖本マグロの仕入れと販売は、今年になってやっと実現したのである。

それも、里社長が政治家や自治体首長などの様々なコネを辿って、何とか商品の仕入れを頼み込むようにお願いして、やっと実現したということで、奄美大島でこれを仕入れて販売が出来るのは、唯一この「グリーンストア」だけなのだ。

この大学卒業マグロの卸し業務を担っているのは、(株)アーマリン近大(和歌山県西牟婁郡白浜町)という、近畿大学水産研究所が開発した魚を主として扱っている会社である。

ここは新事業創出促進法の一部改正による最低資本金規制特例制度を利用し、55年の歴史をもつ近畿大学水産研究所が研究・養殖した魚を、広く消費者へとお届けすることを目的に設立され、養殖クロマグロだけでなく「クエ鍋セット」などの加工食品や、ハマチ、マダイ、シマアジ、ヒラメ、トラフグなども販売しているということだ。

クロマグロの養殖は、これまで成魚を捕獲して、これを蓄養するという方法が主体だったが、平成14年に近畿大学水産研究所が世界で初めて人工ふ化養成クロマグロの産卵に成功した。

これによって、クロマグロが飼育下で1サイクルした「完全養殖」が実現し、日本への輸出用に天然マグロを畜養しているオーストラリア、地中海周辺国など、世界各国の関心も非常に高いということである。

もちろん、国内での関心が高いのは言うまでもなく、資源枯渇を危ぶまれていたクロマグロの将来に、明るい未来を開いたといえよう。しかし、大学の研究所との関連会社ということで、普通の営利会社のような「儲けるために粗製乱造を繰り返す」姿勢を執る事は考えられず、この限られた生産量によって「卸し先を限定する」という事実が厳然と存在していたのである。



いっぽう、(株)グリーンストアでは、このように日本に留まらず世界中でも注目されている、完全養殖クロマグロが育てられている奄美大島の地に生活していて、そのクロマグロを地元の人たちが全く口にする事が出来ないという事実は、地域密着を掲げるスーパーとして「放っておけない」ことだったようである。

今流行の「地産地消」という方向性からしても、先ずは奄美大島の人たちにこそ「クロマグロの味を知ってもらう」ことこそ大切なのだ、と里社長は考えられたようだ。

このような経緯から、苦労してやっとの思いで仕入れる事が出来るようになったクロマグロを、奄美大島での唯一の取り扱い店舗として、冒頭の写真のように、店の看板商品の位置づけを大きくアピールされているのである。

クロマグロを最初に導入するにあたってその起爆剤として、マグロの解体ショーを実演し、大賑わいだったということである。

里社長が「大学卒業マグロ」の導入にまつわる、苦労の賜物となったその経過や、養殖マグロの部位説明などの蘊蓄が、お客様に解りやすく説明されたうえで、


写真のような「卒業証書授与式」が行われる。

更には、重量当てコンテストやカマトロ争奪のジャンケン大会、その他マグロに関する質問タイムなど、趣向を織り交ぜたイベントにしているということだ。

(株)グリーンストアでは、このマグロを希望としているところに対しては、小売りだけではなく「卸し」も行っているということだ。

既に大分県のある店には「マグロの解体ショー付き」の卸しをされたということである。

今後も導入を希望される会社に向けて、卸しの可能性を探っていきたいということなので、導入のご希望があれば

(株)グリーンストア

TEL 0997-53-7087 FAX 0997-52-7375

までご連絡を。


商品化例に戻る

ご意見やご連絡はこちらまで info@fish food times


<home>