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The Fish Food Retail Net


平成18年12月号



旬鮮刺身丸皿15点盛り

2,980円



この旬鮮刺身の丸皿15点盛りは、2,980円の売価で値入れ率は約55%ほどを確保できた。

もし解凍魚と養殖魚だけを使って同じような15点盛りを造ったら、たぶん20%台の値入れ率がやっとのはずだから、値入れ率の点で非常に魅力的な商品となった。

この商品は売価とボリュームのバランスが良いという点で、圧倒的なコストパフォーマンスのある魅力的商品であると言えよう。



このところ世界的なフィッシュフードニーズの高まりによって、ここ最近は水産物の価格が全般的に上昇しており、代表的な魚種のほとんどが昨年と比べてだいぶ高くなってしまった。

もし何も考えずこれまで通りの商品化と売価を継続していたら、間違いなく値入れ率は低下してしまうだろう。

値入れ率が低下すれば、そのまま荒利益率の悪化につながりかねない。



そのような状況下でも、少し頭を使って値入れ率を低下させない方法がある。

それが旬鮮刺身盛合せである。

旬鮮刺身盛合せについては過去に何度も触れてきたので、この場で改めて言及する必要はないだろう。

今は12月、間近に年末年始商戦という年間最大の商戦が迫っている。

その年末年始商戦において大きな販売数量と売上げを期待できる、

大型刺身盛合せを旬鮮刺身で造るとどうなるかを実験してみた。

それが上の写真である。

水産部門に関係している人たちは魚類全般の相場上昇に直面し、値入れ率の確保と荒利益率低下の食い止めに苦慮しているはずである。

根本的な問題は養殖魚や解凍魚しか材料として使わない刺身を、定番刺身として売り続けてきた提供方法そのものにあるのだ。

これまでの発想としては、安定的に仕入が出来る養殖魚や解凍魚であれば、工場生産のドライ商品のように確実な利益計算が出来るし、パートを主体とした効率的な作業の組み立てが出来るという、「合理化優先発想」が商品化の柔軟性を無くしてしまったのである。

お客様は「本当に美味しい生魚の刺身」を食べる機会が少ない。

養殖魚や解凍魚だけで造られた刺身盛合せしか手に入れられないことに、大きな不満を持っている人たちもいるのである。

どこに行っても同じようなネタを使った刺身しか並んでいないとなると、差別化というのは鮮度か技術か、もしくは価格でしか出来ないことになる。

技術に圧倒的な強みを持っていると自負できるところは良いだろう。

もし、技術に強みがないならば鮮度で差別化できるであろうか。

「鮮度が良い」というのは目指すべき目標なんかではなく、「出来て当たり前」の事実でしかないのである。



ならば、どうやって差別化するのか。

「発想」をかえることである。

合理化や効率化ばかりを追い求めて、本物追求を諦めてしまった流れを、一度見直してみれば、

新たな世界が見えてくるはずである。