Fish Food Times
平成18年10月号
酢味噌でどうぞ
シマガツオ薄造り
シマガツオという魚をご存知だろうか。
見たことがあるし、食べたこともあるという方はなかなかのツウ。
もしかして、あなたは「筋カツオ」を思い浮かべたのでは?・・・
残念ながら、それは「ブーッ」、筋カツオ(ハガツオ)とは違う。
それでは、下の写真の三枚おろしの身を見たら解るかな。
鮮度が落ちるとだんだん白くなっていくらしいが、まだ獲れてから時間がそれほど経過していない時は、上の写真のようにほんのりと赤い身の色をしている。
決して脂の乗りは良いとは言えず、どちらかと言えば淡泊系。
それではもう少しヒントになる写真をお見せしよう。
これでだいぶ解ったかな。
この魚の大きさは約4.2kgだった。
顔はこんなに鼻が低くて不細工。
極端な出目になっているのは、この魚が棲む深海から急に引き上げられて気圧が下がったため、たまたま飛び出してしまっただけで、海の中ではまともらしい。
でも、顎の飛び出しに比べて極端な鼻の低さの方は紛れもない事実。
相模湾の地方ではこの魚のことを「オッペタンコ」と呼ぶらしいが、
何か、この顔を見ていると「言い得て妙」と感心する。
正体はこれ。
オッペタンコという名前の他に「エチオピア」とも呼ばれるが、この呼び名はいったいどこから来たのか、諸説紛々。
海の中で泳いでいる時は銀色で、水揚げされると色が黒くなるらしい。
ある地方ではこの体色とその扁平な体つきからか、「黒マンダイ」と呼んでおり、
マンボウ(赤マンダイ)の仲間と思われているけれども、スズキ目、シマガツオ科の別種である。
この魚が魚市場にあったとしても、スーパーの手堅い(未熟な?)バイヤーなどを代表として、
普通の買参人のほとんどは、これを扱うための知識がないために、とても怖がって手を付けようともしないので魚市場ではあまり高い相場とはならない。
そのおかげで、この魚を使って最初の写真のような刺身にしたら、アッと驚く「大儲け」だった。