Fish Food Times
平成18年 8月号
今、再び旬鮮刺身盛合せが注目されている。
それは、刺身用の材料となるカンパチ・タイなどの養殖魚や、マグロなどの冷凍魚が、このところ軒並み値上がりし、それらを原料とした刺身の製造原価がアップすることになり、売価と値入れ率のバランスが悪くなってしまっているからである。
そんな状況の中で俄然存在感が増してきたのが天然の魚を使った「旬鮮刺身盛合せ」である。
上記の写真は7月末の時点において、580円の売価と仮定すると、資材費込みで値入れ率は42%。
このようなボリュームで、この売価、この値入れ率が確保できれば、お客様だけでなく売手側にもメリットはあると考えられる。
原料はヤズ(イナダ)を1/6尾分、トビウオ(角)半身分、
真アジ(中)半身分、ヤリイカ(剣先イカ)1/3身分。
少し遡って4月頃だと、太刀魚を中心にサヨリやメジナも入った、下の写真のような商品を提案していた。
そして、更にもっと遡って3年以上前はというと、以下の写真のような提案だった。
ここでは何が違っていたかというと、この旬鮮刺身盛合せの商品は、通常の刺身盛合せの中身を、単に「天然魚に入れ替えた」だけであり、商品化方法はあまり大きく変えてはいなかった。
その当時の大きな目的としては、養殖魚や冷凍魚を使わず天然魚を使うことで、「値入れ率を格段に上昇」させることにあった。
しかし現在のような全般的な魚の値上がり状況の中で、従来通りの商品化方法と売価設定のまま手をこまねいていたら、ズルズルと値入れ率を圧迫されて、利益率を下げてしまうことになりかねない。
そこから、再び旬鮮刺身盛合せにスポットが当たることになった。
「旬鮮刺身コスパ盛り」という名称は、旬鮮刺身に「コストパフォーマンス」を付け加えるという意図がある。
以前のような単なる商品内容の違いだけではなく、天然魚だからこそ可能な「ボリューム感」も実現したいという意味が込められている。
そして、更には最近は圧迫されている値入れ率を、この商品によって改善できればという思いもある。
ここではこれ以上の詳しい表現はしないが、さまざまな創意工夫によって、その商品化の可能性はいくらでも広げていくことが出来るのである。